薔薇の花

 美術館向かいの白薔薇が開花していた。豪奢な佇まい。

 幸田露伴「野道」を読んだ。菜の花畠、麦の畠などの田舎風景を描写して、
「何ということも無い田舎道ではあるが、ある点を見出しては、いいネエ、と先輩がいう。なるほど指摘されて見ると、呉春(ごしゅん)の小品でも見る位には思えるちょっとした美がある。小さな稲荷のよろけ鳥居が藪げやきのもじゃもじゃの傍に見えるのをほめる。ほめられて見ると、なるほどちょっとおもしろくその丹(に)ぬりの色の古ぼけ加減が思われる。」
 なんだかトマソン=無用物物件の先駆者の趣だなあ。

 ブックオフ長泉店で二冊。石川九楊・編「書の宇宙12 洗練の小宇宙・平安古筆」二玄社1998年初版帯付、モーリス・ルブラン「怪盗紳士ルパン」ハヤカワ文庫2005年初版、計210円。