4月28日(月) 休館日

 幸田露伴蒲生氏郷」(がもう・うじさと)を読んだ。戦国時代、豊臣秀吉の臣下だった武将の伝記。戦国時代は疎いので、へえ〜と勉強になった。また、表現が実に富んでいてそのすっ飛びに驚嘆。
「除^(まき)の水の巻く力は凄(すさま)じいものだが、水の力には陰もある陽(おもて)もある、吸込みもすれば湧上りもする。よく水を知る者は水を制することを会(え)して水に制せらるることを為さぬ。魔の淵で有ろうとも竜宮へ続く渦で有ろうとも、怖るることは無い。」
 とさらりと述べたり。
「この時代には毒飼(どくがい)は頻頻として行われた。けれども毒飼は最もケチビンタな、虱ッたかりの、クスブリ魂の、汚い奸人(かんじん)小人妬婦悪婦の為すことで、人間の考え出したことの中で最も醜悪卑劣の事である。自死に毒を用いるのは恥辱を受けざるためで、クレオパトラの場合などはまだしも恕(じょ)すべきだが、自分の利益のために他を犠牲にして毒を飼うごときは何という卑しいことだろう。」
 露伴の真っ直ぐな背骨を感じる。