その名が轟く

 轟夕起子という女優がいた。スクリーンの彼女に魅了されてその生涯を探究している男性がいる。彼が生まれる前に亡くなっている人だけど。その山口博哉氏は2004年に「女優 轟夕起子の生涯」というA4版145頁の研究書を自費出版された。その一冊を先だって恵まれた。マニアの鑑のような本だ。
「100年後の人々にも喜びを与えるような、そんな未来の歌劇と映画に寄与する『轟夕起子伝』に仕上げたいと思います。」
 来館された山口氏は、味戸ケイコさんの絵を永い間観ていた。氏の「月刊 トドロキ・ユキコ」第4号には訪問記。
「人間は時々、自分自身や世界全体の深遠について、思いを巡らす。それはとてもシンドイ作業だ。そのシンドイ作業を、絵を見ている間だけは、味戸の絵の中の人物たち(おもに少女)が肩代わりしてくれるのではなかろうか。暗い絵だから、暗い気持ちにさせられるのではない。味戸の絵は今も日本(そして世界)の何処かで、シンドイ人々を救っているのであろう。」

 九州久留米市から味戸ケイコさんの絵を観に男性の来館者。九州から初の来館者だ。残るは四国と沖縄。

ブックオフ長泉店で三冊。浅田次郎「特別版 地下鉄に乗って」徳間書店2006年初版帯付、大沢在昌ほか「小説 こちら葛飾区亀有公園前派出所集英社2007年初版、田中啓文「忘却の船に流れは光」早川書房 2003年初版、計315円。

 ネズミーランド。いいネーミング。