青春のマンガ

 夏目房之介「青春マンガ列伝」マガジンハウス1997年を読んだ。同い年、同時代を生きてきているので、ひとつひとつの場面でヒリヒリした痛みの共感に襲われる。
「ジャズ→黒人革命→第三世界革命という、何だか連想ゲームのような観念連鎖が反権力的な学生たちにはあった。」
「そこは、世界と自分のいる場所とを、今まで与えられたのとはまったくちがう回路で密通させるような快感があった。」
「何だか知らないがわくわくさせる観念が、大学の騒乱状態やジャズ喫茶の暗闇につながっているというイメージがカッコよかったのだ。」(「ジャズ喫茶から革命を」)
「もっとも、私は山下洋輔のジャズに夢中で、他の音楽はとりあえずあまり耳に入ってこなかった。第一、いわゆる四畳半フォークというなさけない世界が、私は大嫌いだったのだ。」(「四畳半的にこごり」)
 まるで同じじゃん。新宿旧ピットインで著者とすれ違っていたに違いない。あまりにも重なる生態。でも、著者と決定的に違うのは、私は同棲などには全く縁遠い地方出身者だったということ。周囲には某ジャズ喫茶のウェイトレスが彼氏のアパートへ転がり込んできて同棲そして別離。彼女が堕した責任とって卒業後結婚した男。卒業とともに別れた奴等。みんな切羽詰っていた。……なんだ、今も変らんな。