強気に狂気

 自宅では柴田武「常識として知っておきたい日本語」幻冬舎文庫がサイドテーブルにある。美術館受付のサイドには筒井康隆「狂気の沙汰も金次第」新潮文庫。どちらもちょっとした暇に拾い読みする。前者にはおかしみがあり、後者には苦笑がある。後者から「人口」。
人口爆発は、特に日本では目に見えている危機なのに、これをさほど危険視しない説が横行している。」
「老人を殺さなければならなくなる。老人に長生きさせようというのは現在の常識だが、未来では『老人はなるべく早く、安楽に死なせてやろう』というのが常識になり兼ねない。」
 これは一九七三年の話。三十五年後、時代は変わったのか、変わらぬのか。