毎日新聞朝刊書評欄、坪内祐三「この人・この3冊」は小説家野坂昭如。3冊は以下。
「エロ事師たち」 小説
「卑怯者の思想」 エッセイ集
「文壇」 小説
「ひょっとすると戦後日本を代表する作家は三島由紀夫でも大江健三郎でもなく、野坂昭如かもしれない。」
十代の末に「エロ事師たち」を読んで仰天。同じ時期に大江健三郎「万延元年のフットボール」を読んで驚嘆したけれど、全く一九六○年代末は興奮また興奮の時代だった。あれから四十年。再び興奮の時代が始まる予感。いや、既に助走の段階なのかもしれない。四十年前は学生が、現在はワーキングプア=派遣労働者が歴史の前面に出る……か。