昨夜、狭い書庫で本の背を眺めるとなく眺めていてふと抜いた文庫本、三好徹「天使の唄」講談社文庫 1977年を開いた。冒頭一行で惹きつけられた。
「その晩は、空気が重たく感じられるような蒸し暑い夜だった。」
今夜じゃん。表題作の末尾。
「三笠つき子のレコードを買ってきてくれ」
給仕は目を丸くした。
「どうかしたんですか?」
「どうもしない。聞いてみたいだけさ」
そういったものの、私は、その後いまに至るまで彼女のレコードを聞いていない。
なぜなら、私のところには、プレーヤーがないからでである。
同じじゃん。ブックオフ長泉店で三冊。道尾秀介「背の眼(上・下)」幻冬舎文庫2007年初版、三好徹「天使が消えた」中公文庫1982年初版、計315円。