梅雨明け

 朝からカンカンの夏空。暑い〜。
 福岡伸一生物と無生物のあいだ講談社現代新書2007年、読了。じつに興味深い知見に満ちた本だ。生命のなんと不思議なことよ。

「肉体というものついて、私たちは自らの感覚として、外界と隔てられた個物としての実体があるように感じている。しかし、分子のレベルではその実感はまったく担保されていない。私たち生命体は、たまたまそこに密度が高まっている分子のゆるい『淀み』でしかない。しかもそれは高速で入れ替わっている。この『流れ』自体が『生きている』ということであり、常に分子を外部から与えないと、出ていく分子との収支が合わなくなる。」163頁

「生命とは動的平衡(ダイナミック・イクイリブリアム)にある流れである 」167頁

 と再定義されてからの生命と時間を巡る考究がまた興奮を誘う。

動的平衡系の許容性」の項。

「平衡はあらゆる部分で常に分解と合成を繰り返しながら、状況に順応するだけの滑らかさとやわらかさを発揮するのだ。/ところが動的な平衡系にとってのこの許容性が、逆に作用することがある。」265頁
「わずかな空隙から始まったひずみはネットワーク全体に広がり、やがて平衡に回復不能な致命傷を与えうることになる。」266頁

 アメリカのサブプライムローンに発する世界経済の激変を連想させる。経済は生きものであるという比喩は正鵠を射ている。

 静岡新聞朝刊に「道州制」に関するパネル討論が沼津市で開催された記事、江口克彦PHP総合研究所長の基調講演から。
「最後に、道州の区域分けを今は県境をもとに考えているが、果たしてそれでいいのか。歴史や風土などからも考えるべきでないか。白地図で考えてみると、静岡県は、東西に分けたほうがいいのかもしれない。」
 同感。富士川で東西に分れる。