福岡伸一「生物と無生物のあいだ」講談社現代新書で最も印象的だった箇所は、昨日引用した文ではなく、以下の箇所。
「だが、人間の眼は見えるものにとらわれてしまい、その明るく透明な背景に想像力が届くことはない。」31頁
「そして、たとえ、今、何も存在しないように見えている明るく透明な背景に、焦点を結ぶことのないきわめて微細な何者かが潜んでいるとしても。」31頁
この文章は、静岡新聞朝刊、グラフィックデザイナー原研哉の新刊「白」中央公論社の記事につながる。
「白という概念がいかに『日本の文化の中に、驚くべき多様さで織り込まれ』、白によって『世界は光を増し陰翳の度を深め』てきたかを明晰に描き出す。」
西洋美術と日本美術の隔絶へと視線は向かう。セザンヌがやっと獲得した白い余白……。