朝、七時半、各駅停車で東京へ。上野駅下車、西洋美術館のコロー展へ。二時間ほど堪能。老若男女で混んではいるけど、目障りではない。一目惚れした「傷ついたエウリュディケ」(1868−1870頃)をずっと眺めていた。晩年の風景画はどれも素晴らしい。大人の絵だ。何も求めない何も訴えない。だけど、だからこそ、なのか、身にじいんと沁みてくるやわらかな情感。大人の絵だ。キャッチコピーは
「光と追憶の変奏曲」
だけど、そんなものじゃないだろう。日本でいう里山の自然を描いている。時代がコローを呼び寄せた。森林浴をした気分。
それにしても、並列展示されているセザンヌ、ルノワール、ドニ、マチス、シニャック、ドラン、シスレー、ピカソ、モネ、ゴーガン、ブラックらの青いことよ。コローは大人だ。大人の絵が、今、求められている。いい展覧会だった。
東京駅地下で昼食をとって銀座一丁目Oギャラリーでの奥野淑子展へ。久闊を叙し、新作の一点を購入。彼女は変ってないというが、作風は変化している。旧作は「宙」といった題のように、地上〜空中が舞台だった。新作では水中が舞台。地上の植物から水中植物へ。鳥から魚へ。黒の空間がなにげなく、奥行きと重みを増している。大気と水の違いのように。
二時間ほど語らって午後六時過ぎ帰宅。