立花隆

 斎藤美奈子読者は踊る」文春文庫の解説で米原万里は書いている。
「ここには見かけの権威やブランドに惑わされずに、書物の内容そのものに立ち向かう評者の謙虚で真摯な姿があります。巷の批評家がたとえ思ってはいても決して酷評しない文壇や論壇の王様たち(芥川賞選考委員の先生方、『知の巨匠』立花隆etc.)や絶対的評価を得ている書物の胡散臭さを突いていく潔さがあります。」

 立花隆といえば、2日に買った「二十世紀の千人6 メディア社会の旗手たち」朝日新聞社で「立花隆」を書いている若一光司の文は手放しで絶賛。対して「読者は踊る」では。
「立花によれば、同性愛も。セックスレスも、子育てができない母親も、キレる中学生も、みな環境ホルモンに起因するという。おいおい。」237頁

 絶賛すればいいってもんじゃあない。若一光司って、私と同い年。なんかやだなあ。バランス感覚を欠いてはダメ。そのバランスの中心点は、地に付いていなければ意味がない。斎藤美奈子は、そのバランス感覚も飛び抜けて素晴らしい。それにしても、と思う。美術界に斎藤美奈子はいないのか、と。

 ブックオフ長泉店で二冊。飯嶋和一「始祖鳥記」小学館文庫2002年初版、日影丈吉「ハイカラ右京探偵暦」教養文庫1978年初版、計210円。