一週遅れの話題になるけど。歴史の常識がいつしか変っているのに驚いた。7日(日)の毎日新聞書評で、井上章一「日本に古代はあったか」角川選書が、藤森照信に取り上げられていた。
「歴史の解釈が歴史観によって変ることはもちろん知っていた。でも、古代、中世、近世のような歴史区分まで歴史観によろうとは、この本を読むまで知らなんだ。」
「たとえば中世という区分と武士の時代という中味はどうか。時期は日露戦争の後、張本人は原勝郎。」
「そんな人物が、それまで誰も考えたことのない中世という時代を西洋にならって設定し、武士の世のスタートとした。」
「鎌倉時代という区分もここから始まる。」
「近年、京大系の歴史家たちは、天皇と公家の古代を終らせたのは武家ではなく、摂政家(藤原氏)だとする説を強く打ち出し、井上によると、学界での大勢を制しはじめているという。中世と古代の境がぼやけ、中世が古代にどんどん喰い込んでいるのである。」
毎日新聞14日(日)では歴史教科書にはこんな変化。
「仁徳天皇陵」→「大山(仙)古墳」
「和同開珎」→「富本銭」
「聖徳太子」→「厩戸皇子(うまやどのみこ・聖徳太子)」
といった変更から鎌倉幕府の開始年も1192年から、平家が滅亡して頼朝が実権を握った1185年をとする学説も。今年は後年の歴史家から、時代の地殻変動勃発年と記憶される予感。