寒露

 昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。石持浅海「水の迷宮」光文社文庫2007年初版、開高健「新しい天体」光文社文庫2006年初版、計210円。

 昨夜、本棚を何気なく眺めていて、佐々木幹郎「河内望郷歌」五柳書院1989年に目が留まった。記憶の隅に残っていた東京赤坂のバーですぺら掲示板の書き込みから連想が働いて手に取る。収録の「髪ふく風のゆくえ」は薄幸の歌人石神露子(いそのかみ・つゆこ)について。読んだ。今回気づいたことだが、一九五九年十月八日に、七十八歳の生涯を全うしている。松村緑・編「石上露子集」中公文庫1994年を読み返す。一九五六年頃の作から一首。

  人の世の旅路の果ての夕づく日あやしきまでも胸にしむかな

 きょうは寒露。不思議な暗合を感じる。

 今回の湯浅猛個展では、会場をレイアウトした内野まゆみさんが、百号の絵画には額が不要と、三点並べたうちの真ん中は額なし。彼女は、左右の額も外したいけれども、作家の意向を汲んで二点は額装。そんなとき、毎日新聞朝刊に宇野亜喜良個展の記事。

「空間自体が格好いい。厚みのあるキャンバスや額付きではなく、薄っぺらい紙で見せたらどうなるかな、と興味がありました。既成の美術とは違う見せ方になれば」

 この前の味戸ケイコ絵本原画展(内野まゆみさんのレイアウト)では原画全部が額装なし。