女性を謳う

 きょうは陽射しを暖かいと感じる。昨日取り上げた上田三四二(みよじ)の短歌では女性を謳ったものに特に惹かれる。

  やわらかき躯幹をせむるいくすぢの紐ありてこの晴着のをとめ

  揺られゐる躯幹よりいたく精妙にその春服の胸揺れてをり

  疾風を押しくるあゆみスカートを濡れたる布のごときにまとふ

  乳房はふたつ尖りてたらちねの性(さが)のつね哺(ふく)まれんことをうながす

  かきあげてあまれる髪をまく腕(かひな)腋窩(えきか)の闇をけぶらせながら

 松岡正剛は「千夜千冊」で以下の短歌を推している。

  滝の水は空のくぼみにあらはれて空ひきおろしざまに落下す

 代表歌の一つだ。私ならこの一首。

  ちる花はかずかぎりなしことごとく光をひきて谷にゆくかも