人名を詠む

 昨夕、帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。古川日出男「gift」集英社2004年初版帯付、鮎川哲也「わるい風」光文社文庫2007年初版、計210円。

 高野公彦・編「現代の短歌」講談社学術文庫初刊1991年には人名を詠み込んだ歌が散見される。こんなもの。

  ああ明治、東郷、原敬、三宅雄、夏目漱石、市川団洲  太田水穂

  有島武郎氏なども美女と心中して二つの死体が腐敗してぶらさがりけり  斎藤茂吉

  雪しろの はるかに来たる川上を 見つつおもへり。斎藤茂吉  釈超空

  眼くぼむまで本読みし一日に内村鑑三をいたく怖れぬ  河野愛子

  人間の脆さやさしさ秘むるがに小林秀雄氏駅頭に立つ  島田修二

  酢牡蠣落ちゆく咽喉あはれなりいまだ北一輝の記憶断ち難ければ  塘健

  休日を久生十蘭に読みふけるわれはもハルマゲドンに近し  藤原龍一郎

 などなど。その人の作品、人生を知らないと面白みを感じられないだろうなあ。
 それにしても、水樹ノアさんの展覧会、来館者はにこやかな女性ばかり。ふうん。