分厚い闇

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。アガサ・クリスティー「白昼の悪魔」早川書房1982年10刷、ローレンス・バーグリーン「カポネ 人と時代 愛と野望のニューヨーク篇」集英社1997年初版帯付、計210円。夜道を帰るとき、空から迫り来る夜の深さをひしひしと感じたけれど、それは深さというよりも分厚さといったほうが適切かも、と今朝思った。深い闇と分厚い闇。深い夜と分厚い夜。冬の夜は深く、闇は分厚い。天空の星屑はまたたくけれども、地上の闇は分厚い。白昼でも悪魔は跳梁し、カポネの心の闇は……。

 毎日新聞にはこの数日、ミステリ、写真、バレエなどの「この一年」の回顧が組まれている。飯沢耕太郎「写真」から。

「赤々(あかあか)舎の写真集を見ていると、スタイルはそれぞれかなり違っているが、読者にインパクトを与える『強い』写真が選ばれているのがわかる。そこには動画では不可能な、一つ一つの『シーン』から育ってくるイマジネーションの広がりを大事にする姿勢がある。」

 これは写真と同じ静止画である絵画に通じる。イマジネーションを喚起させる今年の絵画は。