濃密な美術空間

 昨版思い立ってブックオフ函南店へ自転車で行く。中村桃子「<性>と日本語」NHKブックス2007年初版帯付、西澤保彦「笑う怪獣 ミステリ劇場」新潮文庫2007年初版、ジェフ・アボット「図書館長の休暇」ハヤカワ文庫1999年初版、プリーストリー「夜の来訪者岩波文庫2007年初版、計420円。

 昨夜知人女性から電話。詩を読んでみたいと。NHKテレビで町田康による中原中也を視聴して、と。手元の「中原中也詩集」角川文庫は川上徹太郎の編集。彼の姪が三島にいるよ、と教える。急に身近になるわねえと、彼女。美術館には「全集・現代文学の発見・第十三巻 言語空間の探検」学藝書1969年初版がある。安西冬衛から中原中也を経て加藤郁乎まで五十人近い詩人歌人俳人が、大岡信の編集で収録されている。これを貸すことにする。三浦しをん「私が語りはじめた彼は」新潮社の末尾には田村隆一の名詩「腐刻画」が使われていた。結び、
「その秋 母親は美しく発狂した」
 を話題にしようとこの選集をもってきたのだけれど、使う時がなく冬になってしまった。この選集収録富永太郎「秋の悲歌」冒頭、
「私は透明な秋の薄暮の中に堕ちる」
 が、読書中のD・バーンズ「夜の森」国書刊行会1983年初版の野島秀勝の解説につながる。
「日常現実に対して垂直に落下する『夜の森』の文体が、失墜の形而上学を構成する言語たり得ている所以だ。」
 「夜の森」、濃密に歪んだ言語空間だ。

 林由紀子さんとデッサン教室の先生内川義信氏が来館。展示の微調整をする。ちょっと変えただけですっきり、オシャレかつ濃密な美術空間になる。これはイケル。評判を呼ぶだろう。一昨日取材した毎日新聞に続いて地元の三島テレビ放送、エフエム沼津が取材予定。

 午後二時二十分、風雲急な曇天に突如雷鳴と嵐。遅れてきた台風みたいだ。吹けよ風、呼べよ嵐。古いなあ。午後四時半過ぎ雨が止む。早。