12月 8日(月) 休館日

 最低気温零度。零度の文学……。

  枯野ゆく一点となり尽くすまで  鷲谷七菜子

  枯野から枯野へ揺らぐものすこし  山崎聰

 毎日新聞朝刊、演劇評論家渡辺保加藤周一氏をしのぶ」から。

「日本語は極めてあいまいな言語である。加藤さんはそのあいまいな言語を使って、現象にも感情にも流されず、客観的に論理的な文章を書いた。日本語をこれほど論理的に使った文章家を私はほとんど知らない。加藤さんの功績はそこに尽きる。」
「現実に即して現実に流されず、自分の思考の道筋を守っていくことが如何ほど大事であるかを知ったのは、私に限っては加藤さんという存在によってであった。」
「しかし論理の道筋を通すためには文章に工夫がいる。その文章の書き方、たとえば前後のセンテンスの照応やつなぎ方、いかに短いセンテンスを書くか。いかなる外国語にも翻訳可能な明快さをどうするのか。そういう工夫において加藤さんの文章は、ほとんど詩的な美しさであった。それは論理の創る美しさであり、現実を裁断して現実を超える分析の明快さであった。」

 ブックオフ長泉店で二冊。村上春樹東京奇譚集」新潮社2005年初版、法月綸太郎「頼子のために」講談社文庫1993年初版、計210円。ブックオフ三島徳倉店で四冊。赤江瀑「禽獣の門 情念編」光文社文庫2007年初版、結城昌治「隠花植物」角川文庫1977年初版、和田誠「きなきな族からの脱出」角川文庫1984年初版、同「にっぽんほら話」講談社文庫1988 年初版、計420円。村上春樹和田誠は贈呈用。楽しさの共有。しかし誰に贈るか。