川の迷宮

 昨夕本屋で青木正美「古本屋群雄伝」ちくま文庫2008年初版帯付を購入。雑誌棚で「ミュージックマガジン」1月号を立ち読み。「ベストアルバム2008」の「ワールドミュージック」の項ベスト1は昨日ふれたサミラ・サイードの新作。彼女、これで52歳。20年ほど彼女のCDを聴いているけど、一作ごとに若返っている気がする。ついでにはす向かいのブックオフ長泉店で二冊。河内一郎「漱石、ジャムを舐める」新潮文庫2008年初版、坂口安吾「日本文化私観」講談社文芸文庫2006年13刷、計210円。帰宅すると、本多正一・編「幻影城の時代 完全版」講談社2008年が届いていた。うーん、立派な本だ。しばし感慨に耽る。三十年前、近所の本屋で毎号買っていた探偵小説専門雑誌「幻影城」、当時は売れなくてゾッキ本でずいぶん出回っていたとか。ネットも何もない時代、地方の者にとって情報源は新聞雑誌の活字媒体のみ。情報への渇望が途切れることはなかった。休刊〜終刊も、何か月か経ってから知った。発行人の島崎博は好きなことを全力で四年ほどやって息切れ。あれから三十年近く過ぎてやっと評価される。K美術館を思う。十年間の運転資金は蓄えてあったが、すでに十一年半……。

 昼前は山梨県立大の准教授や学生たち20人を源兵衛川などに案内。待ち合わせの三島梅花藻の里、源兵衛川上流でカワセミを見かける。石垣の端、木の枝にとまっていたので全員が見られた。源兵衛川〜蓮沼川〜四の宮川を歩く。街中を曲がりくねって流れる川筋を縦断横断して歩いたので、川の迷宮巡りのよう。ぐるぐる廻ってお昼に三島梅花藻の里へ戻る。持参のパンを学生たちに手渡して池のハヤに与えさせる。喜んでいる。准教授から話が面白かったと感想。ほっ。ここで見送る。自宅へ戻り、午後一時前美術館を開ける。ふう。