休館日

 枕もとの時計が午前九時過ぎなのに外は賑やか。ヘンだなあと起き出して他の時計を見ると午前十一時半。休館日でよかったわあ。午後美術館へ来る前にブックオフ長泉店で三冊。米原万里「必笑小咄のテクニック」集英社新書2006年11刷、殊能将之「キマイラの新しい城」講談社文庫2007年初版、日本推理作家協会・編「マイ・ベスト・ミステリー IV 」文春文庫2007年初版、計315円。

 昨日の毎日新聞坂村健「時代の風」、「多様な東京のレストラン」から。

「相手から学べることがあるなら、とにかくまず同じレベルに達するまで徹底的に学ぶ。そのあとにさまざまな試行錯誤をして、その中から新しいものを生み出す。これは明治以来、工業技術からフランス料理まですべての分野での日本のとってきたイノベーションの方法だ。」

 「すべての分野」というけれど、美術の分野はどうだろう。黒田清輝からしてなあ、である。彼の代表作「湖畔」にはなんら感動もしなかった私。歌田眞介「油絵を解剖する」NHKブックス2002年の帯文「高橋由一の魅力と黒田清輝の不手際」に同感。

「画家も評論家や編集者も、絵を厳密に観察する力に乏しいのではないか。その原因が明治後期の黒田らによる油絵の技法と材料の軽視にあることは、これまで述べたことから明らかであろう。」170頁

 写実的な油絵では故岩田栄吉にぞっこんな私だが、162頁で彼の発言を紹介している。

「どうしていいか迷ったとき、ルーブルへ行けば必ず解決方法が見つかるのです。日本にルーブルがあったら飛んで帰りたい」