名短篇もっとある

 昨日の「名短篇、さらにあり」ではないが、名短篇もっとある、と自分好みのアンソロジーを編んでみたくなる。泉鏡花「薬草取」、稲垣足穂「或る小路の話」、川端康成「片腕」、石川淳「鷹」、太宰治「魚服記」、山川方夫「愛のごとく」、安岡章太郎「質屋の女房」など純文学好きにはよく知られた短篇が思い浮かぶが、大衆文学・探偵小説・ミステリ・エンターテイメント系ではそれこそワンサとあって何冊ものアンソロジーになってしまう。三十年あまり前、「牧神」という雑誌で少女特集をしたとき、少女の文学作品資料を貸したことがある。俳句短歌詩小説エッセイ等を網羅したリスト。以来そのリストはどんどん増えている。きりが無いので最近は中断。

 ゴヤの油彩画「巨人」が別人の作と判明か?の各社新聞記事。別人の作であれ、作品そのものがよければいいんじゃない、と私のもう一つの声。では、贋作ではどう? と別人の声。実物を目の当たりにしていないので、なんともいえない。昨日も話題にた椹木野衣氏のレビューから。

「いままでは印刷でしか知らなかった彼女の世界が、実際には空気を介して自分の眼にどのように届くのかをとても興味深く待っていた。」

 結果は、よかったようだ。ガラス板やアクリル板を介さずに直接に絵画に接したのだから。来月催す展覧会でもなるべく板のない展示にするつもり。