昨日閉館間際に味戸ケイコさんから電話。一時間あまり語らう。
毎日新聞朝刊、美術案内に味戸展の囲み記事。沼津支局の安味伸一記者執筆「郷愁誘う独特の雰囲気」。
「絵画展はガラス越しが一般的だが、ガラスを通さずに直接鑑賞でき、筆遣いも感じ取れそうだ。」
今回の展示を手がけてくれたデザイナー内野まゆみさんが味戸さんへ送ったメールがこちらにも送信。
「味戸さんの描かれた原画 今回の展示はガラスを外して展示しました / 様々な色を重ねて作った黒の深みが素晴らしく 心がときめきました / ガラスを外すと 優しさが伝わる感じで お客様もゆっくり丁寧に見てくれます / 一つ一つの絵が生きています」
「ガラスが無いので、自分の姿が映る事もなく、ゆっくり見れます。やさしく目に入ってきます。 / 余分な光の反射が、ガラス一枚が、味戸さんの繊細な絵の魅力を抑えてしまっていたような気がします。」
まさしくそのとおり。黒の深さ、黒のもつ深みが、作品と直接対峙することで鑑賞者の心の奥底にまですっと届く。
味戸さんは新たな技法で黒を描いていると言う。鉛筆画による黒の美をダイナミックにかつ繊細に描き出し、さらには息を呑む深みをも表現した画家は、いまだ潜在するだろう黒の多彩な深みを、掘り下げ掘り起こし、表現していく。味戸さんの指は真っ黒だろうなあ。
毎日新聞を読んだという若いカップルがさっそく来館。二人とも絵をじっと見つめている。本を手にとって原画と見比べている。嬉しい光景だ。来館記念の綾取りの毛糸を喜んでもらっていかれる。ほほえましい。