WHISPER NOT

 昨夜もLPレコード聴きまくり。デクスター・ゴードン DEXTER GORDON 「 ONE FLIGHT UP 」を聴いている時、女友だちから電話。「ステキな演奏ね、貸して」と言われてもCDじゃないからなあ。無理無理。これはその昔昔、東京は中央線高円寺駅南口を出た先にあったジャズ喫茶「さんじぇるまん」で聴いて惚れ込んだ一枚。国内盤はたしか無くて輸入盤を無理して買った私のお宝の一枚。今じゃCDで買えるから自慢じゃないけど。これに代わるCDを選んで聞かせる。ホレス・シルヴァー HORACE SILVER 「ソング・フォー・マイ・ファザー SONG FOR MY FATHER 」を気に入る。やれやれ。他にはリー・モーガン LEE MORGAN 「ウィスパー・ノット WHISPER NOT 」。定番ね。
 就寝前に聴いたのは山崎ハコ「流れ酔い唄」。たしかCD化されていない。もう眠い。A面だけ聴いて止める。「さよなら わたしのなかの女の子」といった歌詞があるが、これが第一期山崎ハコの到達点のレコードだろう。それから彼女のさすらい〜迷いが始まった気がする。彼女のアルバムは、大方持っているが、この第一期ほどの切迫した充実感を覚えるものはなかった。歌手も美術家も、ひときわ輝く独自な作品を創り出すことができる時期は、最長でも十年だと思う。後はなだらかな下り坂。井上陽水に「君は上り坂 僕は下り坂」という歌詞があるが、その上り坂の頂点=輝く時がいつなのかは、作者の引退後死後に確定する。では、私の頂点は? 今じゃ、と囁く声がする。

 やや激しい降りなのでバス乗る。十人ほどの乗客。こんなに多い乗客は初めて。自家用車からバスに替えた通勤客が増えたのだろうか。