Vladimir Vysotsky

 石原吉郎「望郷と海」ちくま文庫を読んで、ソ連の歌手ウラジミール・ウィソツキー Vladimir Vysotsky のレコード「いまだ日は落ちず」ビクター1982年を聴きたくなった。昨夜は収録18曲をたっぷり聴いた。レコードに挟み込まれた毎日新聞1984年7月12日の記事。

「ビソツキーが四十三歳の若さで死んだのは、モスクワ五輪開催中の八十年の夏。劇場の舞台に安置された遺体に最後の別れを告げるため、三万人近い行列ができた。もちろん動員されたわけではなく、人づてにこの鬼才の死を知って駆けつけた人たちだった。炎天下に長時間立ち続ける人びとの群れを眺めて、ビソツキー人気が本物であることを知らされた。」

 レコード帯に付された小説家五木寛之の言葉。

「真に人間的な音楽表現が到達する最後の率直さと見事さ。」

 今、彼の歌は You Tube でいくつも耳にすることができる。それにしても石原吉郎「望郷と海」は人を考えるうえでの基準石となる確固たる本だ。手放せない。

 詩人歌人早坂類さんの昨日のブログの二行に共感。

  時代はなにか、ようやく向きを変えて、

  精神と、誠実さと、柔らかさの方へ流れ出したような…。

 ブックオフ長泉店で三冊。有栖川有栖「作家小説」幻冬舎2001年初版、五十嵐貴久安政五年の大脱走幻冬舎2003年初版帯付、井上ひさし「ベストセラーの戦後史1」文藝春秋1995年初版帯付、計315円。