しんと冷えた空気

 昨夜は日本のジャズレコードを聴く。ベースの鈴木勲「 BLOW UP 」1973年録音は、ブイブイ唸るベース、華麗に飛ばす菅野邦彦のピアノそしてジョージ大塚の美しく連打するドラム。いいねえ。AB両面を聞きとおし、表題作を再び聴く。シビレル。続いて今田勝「ソオ・ピアノ」1976年録音。素晴らしい響き。「帰ってくればいいのに You'd be so nice to come home to 」について野口久光の解説。

「原曲のメロディックな美しさよりも、コード進行に基いた中低音を生かしたダイナミックな演奏が素晴らしい」

 そのとおり。AB両面を聞きとおす。どちらもスリー・ブラインド・マイス(三匹の盲のねずみ)レーベルの作品。録音がいい。続いて1970年に発売された山本邦山「銀界」をかけると友だちから電話。「何の音楽?」「尺八のジャズ」

 寒いので米沢穂信「夏期限定トロピカルパフェ事件創元推理文庫2006年を読んだ。高校生を巡る、巧妙に仕組まれたダブル・トラップ(二重の罠)。表題とは正反対の苦い後味のミステリ。苦いけれども後味は悪くない。

「蒸し暑い夏の日、この瞬間、ぼくと小山内さんの間にしんと冷えた空気が下りてきたのを、ぼくは確かに感じていた。」 179頁

 冬に読むんじゃなかった。