ジャンルを超えて

 銅版画家の多賀新氏から養清堂画廊での企画展の案内状。横向きに横たわる裸の女性、その放心したような眼差しと姿態に既視感を覚えた。野本美穂写真集「ROPE」海王社1995年。写真集では乳首が露わだけれども、銅版画では腕に隠れている。髪の毛の乱れ具合……。乱れ髪。心も乱れる?

 狐「野蛮な図書目録」洋泉社1996年を読む。門谷憲二「盆の釣り」朔風社の評から。

「釣魚小説における本書の出現を、推理小説における中井英夫『虚無への供物』(講談社文庫)の出現にたとえてもよい。中井の作品のようにジャンルにおいて突出したものは、そのジャンルを超えて読まれるべきであり、この本もまさしくその一冊であるからだ。」

 「虚無への供物」に例えられるとは。うーっむ。門谷憲二作詞、西島三重子作曲、歌の「黄昏の街でさよなら」「愛の行先」「仮縫い」「千登勢橋」「びしょぬれワルツ」などを久しぶりに聴く。

 午後、千葉県から若い女性二人が味戸ケイコさんの絵を観にご来館。