自遊人

 午後はしばし美術館を閉めて源兵衛川の月例清掃へ。新緑がまぶしいほど。六人で一時間ほどお掃除。きょうは若い男性が初参加してくれる。喜ばしい。美術館へ戻ると、お客さんが待っている。さっそく再開館。ご夫婦で木版画をじっくり鑑賞される。二階の常設展示もじっくり鑑賞されてお茶で一服。「いい美術館ですね」と感心される。嬉しいことば。

 池内紀「自由人は楽しい」NHKライブラリーを読んで、足の引っ張り合い=嫉妬は、どこの国でもどの時代でもあるものだなあ、と嘆息。行政官にして文豪のゲーテの章。ゲーテの詩「おもしろくないもの」冒頭。

  たのしんでいると
  やってきて水をさす
  仕事がめだつと
  石を投げてくる

 どの章にも、へえ〜、知らなかったという話が見出される。ゲーテの章では例えばシューベルトの歌曲「美しき水車小屋の娘」。

「水車小屋の娘といえば、当時ではかなりの事業家の娘にあたるわけで、『良家のお嬢様』というイメージをもっていたのです。シューベルトの歌曲で、さすらいの旅人が水車小屋の娘への憧れを歌ったりするのは、その土地きってのお嬢様だったからなのでしょう。」

 貧しい小屋の娘だと思い込んでいた私。この歌曲を話題にしたことがなくてほっ。この本に扱われている人たちは、ユダヤ人のロートシルト(大富豪ロスチャイルド家創始者ロスチャイルドロートシルトの英語読み)をはじめ誰もが困難な状況を知恵と努力で切り抜けている。そして手に入れた自遊。自由人は自遊人でもあるなあ。そして晩年は自悠人でありたい(無理無理)。

 はてさて。山口昌男「知の自由人たち」、池内紀「自由人は楽しい」とNHKライブラリーで出たからには、「自由人」三度目の本は誰だろう。