昭和レトロな藤圭子

 「そして今は、若者たちの間で、ほとんどの理論が、色あせ束の間のふれ合いの中の、心情的な共感こそが、正しいと信じられている時代である。」小西良太郎

 これは藤圭子の「1970年10月23日渋谷公会堂にて実況録音」された二枚組LPレコード「歌いつがれて25年 藤圭子 演歌を歌う」の解説文から。40年近く前も今も若い人は同じようなものだ。そんな中での藤圭子の歌は時代を反映し時代を超えて心に響く。と、思うのは同時代を生きた世代だけだろうか。藤圭子と違って今も歌い続けている浅川マキは?

 のろのろと読んでいる野間宏「青年の環」に「『貧すれば貪(どん)する、どんすりゃ損する』というユーモラスで哀れな言葉」。友だちは貧乏の「貧」と貪欲の「貪」を同じ字と思い込んでいた。「今」と「分」の違いを気づかなかった。完璧の「璧」の下の字を「玉」ではなく「土」と思い込んでいた誰かもいたなあ(→私)。

 ブックオフ長泉店で三冊。泡坂妻夫「比翼」光文社2001年初版帯付、堀江敏幸「雪沼とその周辺」新潮社2004年5刷帯付、A.J.クィネル「燃える男」集英社文庫1984年初版、計315円。