漫画/劇画

 一昨日の静岡新聞夕刊に「半世紀経て内外で脚光」「『劇画』生みの親 辰巳ヨシヒロさん74歳」の見出し記事。

「昨年末の自伝的作品『劇画漂流』は英語版、スペイン語版に翻訳され、4月には米ニューヨーク・タイムズの書評が『日本の漫画革命の野蛮な先駆け』と大きく取り上げ、国内でも6月に手塚文化賞が授与された。」

「映画やハードボイルド小説に影響され、迫力ある描写、心情を映すコマ割りを工夫、自作を『劇画』と称したのは58年。」

 「劇画漂流(上・下)」青林工藝舎。これは知らなかった。段ボール箱から貸本漫画、辰巳ヨシヒロ「弾丸太郎シリーズ2 めくら狼」東考社を出す。発行日不明のこの本では漫画、劇画どちらの言葉も使われていない。奥付に1959年12月3日発行とある貸本漫画、「探偵漫画シリーズ『迷路』第14号」若木書房には「劇画工房作品 作 石川フミヤス」として「笑いが止まらない」がある。梶井純「戦後の貸本文化」東考社1976年によると、1959年1月5日に「桜井昌一佐藤まさあき、山森ススム、石川フミヤス、K・元美津」と、「辰巳の個人的な呼称だった『劇画工房』を共同で使うことがきまった」127頁

「『劇画』という呼称が一般的につかわれるのは六○年代にはいってしばらくたってからである。」127頁

「かれらの掲げた『劇画』という呼称は、貸本マンガ界では、まだそれほど受けいれられていたわけではなかった。この時期のかれらの功績は、『劇画』の存在を世に定着させたことにあるのではなく、貸本マンガ家というきびしい生活現実のなかでなお『新しいマンガ』をつくりだそうという前向きの生き方をもちこんだことにあった。」130頁