好みの装幀

 朝、雨が止むと一斉に蝉の声。きょう初めて聞いた気がする。昨日までは蝉はまだあ?状態だった。

 篠田一士「日本の近代小説」集英社吉岡実の装幀を気に入ったので、ウェブサイトを参考に彼の装幀本を本棚から探し出す。彼の詩集、「異霊祭」(限定版)、「サフラン摘み」、「神秘的な時代の詩」、「夏の宴」、「薬玉」、「ポール・クレーの食卓」といった詩集はさておき、他人のために装幀した本は、天沢退二郎「『評伝オルフェ』の試み」、入沢康夫「死者たちの群がる風景」、同「『月』そのほかの詩」、大岡信「水府」、種村季弘「日本漫遊記」、前登志夫「縄文紀」そして「詩の本 1 詩の原理」。そしてもう一冊岩成達也「レオナルドの船に関する断片補足」復刻版が見つかる。「詩の本 1 詩の原理」だけ古本で買っている。床に並べて鑑賞。結局最も気に入った装幀本は篠田一士「日本の近代小説」集英社

 本を探していて目に留まったのが、安岡章太郎「観自在」世界文化社2005年初版。ジャケットを外すと抹茶色の布装。その色合いがなんとも好ましい。活字の大きさも組み方も好感がもてる。「観自在」とは、安藤信哉論 で使った用語。巻末の一文「田村義也の装幀について」。

「内容はともかく、装幀だけをとってみても、明治、大正、昭和の初期のものにくらべて、現在は甚だ画一的であり、本に対する愛情のまるで感じられないものが大部分である。」

 同感。でも、田村義也の装幀は安岡章太郎「幕が下りてから」などを所持しているけど、どうも好みではない。