ひげのある男たち

 結城昌治「ひげのある男たち」徳間文庫1982年初版を読んだ。1959年に刊行された結城昌治の長編処女作。数人のひげのある男たちの中に殺人犯がいる。どの容疑者もアリバイがない。しかして犯人は? 意外な犯人。傑作だ。うれしいねえ、傑作と断言できるのは。結城昌治の作品は「公園には誰もいない」「暗い落日」「夜の終る時」など何作か読んでいるが、ハズレがなかった。彼の言葉から。

「(推理小説における)謎の探索というのは、時間(過去)を再構成して現在に新しい価値を与える作業なのである。みせかけの現実を掘り起こして新しい現実を見つけることであり、そして現実が新しい光の下に発見されたとき、(それがどこまで真実に迫っているかは別として)見せかけの現実を根本から揺り動かしてその価値を変えてしまうところに、推理小説のおもしろさがあるのではないだろうか」

 ちょっと言葉を変えれば絵画にも言えることだ。

 富士山の湧水記事が興味深い。「柿田川湧水(清水町)には、富士山系地下水のほか、愛鷹・箱根山系が3〜5割程度混ざっていることが推定できた。」

 だろ思うよ。地形図を見れば、ね。