「密室殺人事件」

 ミステリーアンソロジー「密室殺人事件」角川文庫1994年初刊1996年4刷を読んだ。阿刀田高折原一栗本薫黒崎緑清水義範法月綸太郎、羽場博行、連城三紀彦の作品を収録。羽場博行だけ書き下ろし。他は既刊本(1981〜1992年)からの再録。最も印象的だったのは羽場博行「虚像の殺意」。超高層ハイテク防犯ビルの厳重に警備された一室で社長が予告どおり殺害される。犯人は完璧と思われたセキュリティをどうやって潜り抜けたのか。そして凶器は? イリュージョンを使ったトリックは、テレビ番組で観たものを連想させた。機械は機械のことしかできないし、人間は人間で思い込みと勘違いがある。どちらにも限界がある。そんな感慨を抱かせた。