密室遊戯

 きょうは久しぶりの曇天。夏らしい夏を体験しないまま盛夏が去ってゆく。こんにちは、風邪さん、じゃやだな。

 「ミステリーの愉しみ 第2巻 密室遊戯」立風書房1992年初版を読んだ。全5巻のうち、この巻は鮎川哲也の編集。

「わたしの案は、戦後間もない頃に登場した人々に依るいまはもう忘れら去られようとしている短篇を、若い読者に紹介すことにあった。何といってもこれらの作品は、戦後花ひらいた本格ミステリーの原点ともいうべきものであったからだ。」

 収録十四篇全部が密室殺人ではないが、最初の短篇が映画評論家として名をはせた双葉十三郎「密室の魔術師」だから驚く。最も惹かれたのが、郄木彬光「妖婦の宿」。事件現場は「伊豆の古奈(こな)温泉」。うれしくなる。ケレン味たっぷりにぐいっと読者を惹き込む技は流石、郄木彬光、舌を巻く。それにしても「密室遊戯」、あらぬ連想をしてしまうのは私だけだろうか。