栄枯盛衰

 書き忘れ。一昨日、沼津市の街中にある初めて訪問した古本屋の均一台で二冊。川本三郎「都市の風景学」駸々堂出版 1985年初版帯付、池内紀「温泉旅日記」河出書房新社1988年初版帯付、計200円。

 昨夕、沼津港近くに新規開店したスーパー・マックスバリューの一階にあるブックオフ「沼津南店」へ友だちの車で行った。原リョウ「愚か者死すべし」早川書房2004年初版帯付、矢作俊彦「新ニッポン百景 '95-'97 」小学館1998年初版、計210円。前者は贈呈用。友だちは井上陽水の二枚組みベストアルバム「GOLDEN BEST」を950円で。このイオン傘下のスーパー、スーパー・ダイエーが閉店した跡地に出店。世の栄枯盛衰を感じる。そういえば矢作俊彦「新ニッポン百景 '95-'97 」の「はじめに」より。

「前回の百景にはまだ苦笑があった。バブルの残り香が漂う景色には、銭に踊った人間たちの悲喜劇があった。ところがこの二年、平成不況の直中に、財政出動によって現出した景色には喜劇などない。悲劇すらない。あえていうなら、それは惨劇だ。」

 珍百景といった言葉を最近よく耳にするが、矢作俊彦都築響一のような醒めた批評眼を感じるモノは少ない。矢作はこう締めくくっている。

「しかし、連中とは逆に、市民は確実に成長している。あちこちで、それを感じた。悪いことばかりじゃないと、最後に、ひとこと、書き足せるのが救いだ。」

 紹介されている現場写真は大部分がナニコレ悲惨物件。ある物件に彼はこう記す。

「人間が生きるには隣近所というものが絶対不可欠で、その隣近所の目線に耐えることも人間の義務のひとつなのだという、もう実に簡単なことさえ理解できないようなのだ。」

 お昼に来館された年配の知人二人が、深沢幸雄氏の作品と展示に感心される。ヨカッタ。