胡桃・栗

 昨日の午後、某美術館(うちではない)の駐車場に隣家から枝を伸ばしている鬼胡桃の緑の実がいつ落ちるかな、と見上げていたら、友だちから隣家との間の側溝に落ちているよ、と教えられた。狭くて深い側溝の水の底にあるある。覆いかぶさった草と枝と押し分けて水底から二十個近くを拾う。果肉が取れていて堅い実だけになっている。これは楽。側溝の水を汚いと思って誰も拾わないようだけれど、この水は側溝の側面から出ている富士山の湧水なのだ。すっごくきれいで冷たい。友だちに贈る。乾燥させて、はたしてどうなるか。愉しみ。その家からは葡萄の弦も伸びていて、葡萄が紫色に実っているけど、これは虫に喰われていて試食したくない。私の山の畑では栗が旬を迎えているけど、今年は虫に喰われて不作気味。今朝は昨夕茹でた栗を朝食代わりに食す。やっぱりうまいわ。

 はやみねかおる「そして五人がいなくなる」講談社文庫の巻末には宮部みゆき北村薫ら先輩小説家からの応援メセージが載っている。田中芳樹の文。< 隠された財宝というものは赤城山の地底なんかにはなくて、書店の棚にある。まったく偶然に、『そして五人がいなくなる』を発見したときの気分は、「おお、小判がいっぱい」だった。読み終えて、「ちがった、大判だった」と思った。 >