明日は臨時休館

 ブックオフ長泉店で三冊。大沢在昌「狼花」光文社2006年2刷帯付、北原尚彦「新刊! 古本文庫」ちくま文庫2003年2刷、高野慎三つげ義春を旅する」ちくま文庫2001年初版、計315円。「狼花」は贈呈用。北原尚彦「新刊! 古本文庫」の「はしがき」から。

「『こんな文庫があったのか!』というような本を紹介したい。」

 紹介されている文庫本は「いずれも自分の蔵書ばかり」で「文庫本を紹介する本を書きたい」と買っていたそうだから、知らない文庫がどっさり。といっても、私の持っている文庫本と同じ本も何冊か紹介されている。こんな文庫本。

 木々高太郎「折蘆」市民文庫1951年、アストリッド・リンドグレーン「妖精にあげたハンカチ」サンリオ・ギフト文庫 1976年、野村胡堂「六一八の秘密」ソノラマ文庫1976年、国枝史郎「神秘昆虫館」国枝史郎伝奇文庫1976年、「パール傑作選 I 」富士見ロマン文庫1979年、角田喜久雄「黒岳の魔人」中公文庫1983年、M・ボンテンペルリ(ルは小文字)「わが夢の女」ちくま文庫1988年、白井喬二「怪建築十二段返し」大陸書房1990年、「『少年』傑作集 小説・絵物語篇」光文社文庫1990年、「飯島直子写真集 SOUTH WIND 」TOP MASTERPIECE 1993年、などなど。本文で紹介されている文庫本はかなりあるなあ。少し書き出してみる。

 黒岩涙香「幽霊塔」旺文社文庫光瀬龍「その列車を止めろ!」秋元文庫海野十三「浮かぶ飛行島」少年倶楽部文庫、山田風太郎「妖説太閤記」大衆文学館文庫などなど。オスカー・ワイルド「幸福な王子」、寺山修司「わけもなくさみしかったら」など一連のサンリオ・ギフト文庫は、アンデルセン・文/味戸ケイコ・絵「マッチ売りの少女」1974年に始まり 1976年までに二十冊余り出た絵本・詩画集(挿絵は白黒のモノトーン)が華だった。2004年に「詩とメルヘン」の企画展をした。当時未入手だったギフト文庫は、その後かなり入手できた。

 きょう買ったもう一冊、高野慎三つげ義春を旅する」ちくま文庫も、ついつい読み耽ってしまう。著者の別名が権藤晋とは知らなかった。「『四つの犯罪』『懐かしい人』と湯河原温泉」の章。湯河原といえば故・種村季弘氏の居宅がある。種村氏の前の細い道をさらに山へ入ったところにある某女性演歌歌手の家で、北一明氏を囲んでの月見の宴に招かれたことがあった。二十年近く前のことだが、その席で湯河原と熱海の若い芸者が勺をした。熱海の芸者にぐっときた。忘れられない名前。二年前の春、熱海駅前でもらった宣伝チラシに彼女の姿。文字通りの看板芸者。懐かしい人だ。

 あれは1970年頃だった。「ガロ」増刊号「つげ義春特集 2」の表紙絵の原画を神保町のガロ編集部で、多分長井勝一氏だったと思う、取り出して見せてくれた。

 隣家の通夜なのできょうは早仕舞い。明日は葬式の手伝いで臨時休館。