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 百目鬼(どうめき)恭三郎「解体新著」文藝春秋1992年。

「私にとって書評すべき本は三通りある。その一は世評は高いのに実質が伴わない本であり、その二は積極的に人に奨めたいと思う本である。三はやや複雑で、一般読者には面白くなかろうから積極的には推せないが、私自身の好みにあっているためつい吹聴したくなる、といった種類の本である。」

 「その一」にあたる本に篠原有司男「ニューヨークの次郎長」講談社1985年がある。

「この作品は、中学の高学年から高校生で、それほど文才のない連中が書いてみせる『小説』と同程度としか受けとれなかった。」

 この本、新聞の書評でえらく持ち上げていたので買った。読む機会が訪れる前にこの文章に出合ってしまった。棚の飾りになっている。現代前衛アーチストという彼の作品、オートバイなどを銀座の画廊や品川の原美術館で見たけれど、フーンだった。何の感興も湧かなかった。百目鬼恭三郎は書いている。

「その芸術の特色は、要するに、鬼面人を驚かすというものであると思えばよろしかろう。」

 たしかに。

 ブックオフ長泉店で二冊。「色の手帖」小学館1986年5刷帯付、深井晃子「ファッションから名画を読む」PHP新書2009 年初版、計210円。前者は自宅でよく利用しているので美術館にも。