芸術は爆発だ!

 岡本太郎は美を見極める確かな眼をもっていた。それを読書中の「美の呪力」新潮文庫2004年初版でも実感。「透明な爆発・怒り」の章を読んで、「芸術は爆発だ」といった人の真意がやっとわかった。

《人間が自分を超えて、世界に、宇宙に無限のひろがりをつかみとる。つまり人間が人間になることだが。そのとき意思と感情の爆発に耐えなければならない。爆発といっても、火薬が炸裂するというような単純さではない。静かで、透明で、神秘の筋が宇宙をおおうような、そんな精神のひろがりである。》101頁

 北一明氏の耀変茶碗を連想した。社会学鶴見和子女史は「一碗に歴史を見る」といったが、私は一碗に宇宙を見る。

 ブックオフ長泉店で二冊。山口智司「名言の正体」学研新書2009年初版、夏目房之介「孫が読む漱石新潮文庫2009年初版、計210円。前者の発行日は今年八月四日、後者は今年三月一日。新刊じゃん。前者には「芸術は爆発だ!」の項もある。

《だが、この名言は額面通りの単純な言葉ではない。太郎は自身の著作で、こう説明している。》

《が、私のいう爆発はそんなのではない。音もなく、おどろおどろしい残骸もなく、ぱーっと宇宙に放射する。無償、無目的に。色でない色、形でない形で。全生命が瞬間に開ききることが爆発なのだ》

 午後、源兵衛川を視察に来られた広島県三次市役所職員お二人を二時間余りご案内。途中、カワセミに何度も接近遭遇。歩いてゆく先数メートル先に止まっている。近づくとその先へ飛んでゆく。しまいに川に伸びている枝に留まる。午後四時再開館。ふう。