今年こそ読まれるべきミステリ

 昨日の綾辻行人「四○九号室の患者」は日記形式のミステリ。その日付が「10月20日火曜日〜11月28日土曜日」、「12 月5日土曜日〜12月16日水曜日」。今年と同じ曜日。今年こそ読まれるべきミステリだ。いい時に読んだ。

 太田忠司お気に入りシリーズ、横溝正史百日紅さるすべり)の下にて」(「殺人鬼」角川文庫1976年収録)を読んだ。嫋嫋たる真相。結びの一文。

《蒼茫と暮れゆく廃墟のなかの急坂を、金田一耕助は雑嚢をゆすぶり、ゆすぶり、急ぎ足に下っていった。瀬戸内海の一孤島、獄門島へ急ぐために──。》

 おお、「獄門島」。中島河太郎の解説から。

《著者自選のベスト・テンはほとんど長編だが、短篇で本篇をあげられたのはもっともと肯けよう。》