警語

 昨日ふれた冨山房百科文庫、三十年近く前にきだみのる「気違い部落周游紀行」1981年を新刊で買っている。岩波新書「にっぽん部落」1967年を出た当時読んで高校生の私はえらく感心した。 そして新潮文庫旧字体の「気違い部落周游紀行」を買い、冨山房百科文庫も購入。どれも本棚に並んでいる。先だってブックオフ長泉店で冨山房百科文庫斎藤緑雨「緑雨警語」1994年3刷を買ったが、中野三敏編集のこれはなんとも痛快。百年以上前の明治三十年代の文章なのに。

《人の世に最大不必要なるもの、唯一つあり、名づけて識者といふ。》74頁

《使ふべきに使はず、使ふべからざるに使ふ、是れ銭金の本質にあらずや。疑義を挟むを要せず。》126頁

《画をかく人々、字をかく人々に告ぐ。お金を払つて買つてくださるは、まことに難有(ありがた)いお方なり。併しながら大抵は、わからぬ奴なり。》127頁

《野に山に花は百千の色々なれど、錦織るてふ都の桜の如く、よく人を酔はしめ、狂はしめ、警察処分に遇はしむるもの無し。》190頁

 ブックオフ長泉店で二冊。大江健三郎万延元年のフットボール講談社1974年23刷、「現代日本文学大系 93 現代詩集」筑摩書房1980年10刷、計210円。前者は1967年に出た当時買って読み、仰天。これもまだ本棚にある。後者には篠田一士の編集による「二十七編」が収録されている。明日へ続く。