空白の展示室

 ミステリ作家多島斗志之が失踪。絵を取り払った空白の展示室が痛々しく空疎に感じられる。

 平成二十一年も暮れゆく……。きょうが五十九歳の誕生日の知人がいる。彼我の足跡を思う。ビンボーな時、高度成長の時、オイル・ショックの時、ジャパン・アズ・ナンバー・ワンの時……といくつもの時代の波を体験した。そしてこの二十年を思う。バブルが弾けて二十年。今の大学生は生まれてこのかた景気の悪い時しか知らない。しかし、戦争のない日本はなんと住みやすいことか。世界のテロリストは、日本ではテロを犯さないとう。あまりに警備がゆるい日本でテロを犯すと、世界中のテロリストの笑いものになる。テロリストにも安息の地が必要。それが日本だ、とか。

 ブックオフ長泉店で二冊。ガブリエル・バンサン「アンジュール ある犬の物語」BL出版2002年42刷帯付、ルース・ベネディクト菊と刀講談社学術文庫2008年18刷、計210円。前者は友だちから依頼された探求本。ブックオフ沼津店で文庫本を七冊。大野晋丸谷才一「光る源氏の物語 下」中公文庫1994年初版、木々高太郎「人生の阿呆」創元推理文庫 2003年2刷、瀬戸山玄「東京ゴミ袋」ちくま文庫2004年初版、R・D・ウィングフィールド「フロスト気質 下」創元推理文庫2008年初版、ルイス・キャロル「不思議の国の論理学」河出文庫1990年初版、ジョン・クレランド「ファニー・ヒル河出文庫1997年初版、T・S・ストリブリング「カリブ諸島の手がかり」河出文庫2008年初版、計735円。

 今夜は例年通り甲斐バンド「かりそめのスウィング」と浅川マキ「前科者のクリスマス」を聴く。