1月18日(月) 休館日

 寒いのでお昼近くまでお布団でぐずぐず。午後、ブックオフ沼津店で三冊。恩田陸「中庭の出来事」新潮社2006年初版帯付、野口冨士男「わが荷風講談社文芸文庫2002年初版、三浦哲郎「拳銃と十五の短篇」講談社文芸文庫1996年4刷、計315円。

 塚本邦雄序破急急」筑摩書房1972年収録「反世界考」より。

≪一体異端と正統、反世界と世界とは何によつてかくも鮮やかに両断され得るのか。二者はメビウスの環であり、その裏表を定めるのはかつても今も"常識""社会通念"以外のものではない。横行する常識を根柢からくつがへすエネルギーが、はしなくも六九年において高潮したのでなかつたら、「黒死館殺人事件」も「虚無への供物」も「瓶詰の地獄」も「姦」も「一千一秒物語」も、所詮ユイスマンの「さかしま」における観賞用熱帯植物に終るだらう。≫

 その高潮を受けて埴谷雄高「死霊」、武田泰淳「富士」、半村良石の血脈」などが1970年代に発表された。と思う。なお、塚本邦雄の挙げている小説の作者を順に記しておく。小栗虫太郎中井英夫夢野久作久生十蘭そして稲垣足穂。「姦」は「かしまし」と読む。あれから四十年。歳月は流れた。折しも、新宿アンダーグラウンドを代表する歌手浅川マキの逝去が報じられた。享年67。