きょうも温いけど強風

 未明は風雨強く、午前三時には地震。日が昇ればきょうは昨日以上に気温が高い。だけど強い風。春眠暁を覚えず、ではないけど、気持ちいいのでお布団でしばらくぐずぐずする。

 静岡新聞朝刊に、エドガー・アラン・ポーの生誕二百周年の十九日に、この六十年毎年酒瓶を捧げた人が今年は来なかったという記事。今読み始めた本は平石貴樹「だれもがポオを愛していた」集英社1985年。この前に読んだ「笑ってジグソー、殺してパズル」は、この一月下旬が事件の舞台だった。暗合を感じる。

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で三冊。川又千秋「幻詩狩り」創元SF文庫2007年初版、なかにし礼「口説く」河出文庫1999年初版、半村良「小説 浅草案内」新潮文庫1991年初版、計315円。「口説く」をぱらっとめくったら、「家庭外恋愛──逢びき」の章。その冒頭。

≪不倫を英語ではアダルタリー(adultery)という。アダルトといえば大人のことであり、大人であれば不義密通もやむなしといった感じが出ていて、この英語はなかなか含蓄に富んでいる。≫

 アダルタリーという英語を「笑ってジグソー、殺してパズル」で初めて知った。ちょっとあこがれるけど、面倒臭そ。

 またぱらっとめくったら、「最初の十分間──モロッコ」。その書き出し。

ジョン・ファウルズの『魔術師』という小説の中にこういう文句がある。
「男と女は一緒に寝るか寝ないか最初の十分間で分かる。その最初の十分間に続く時間はいわば税金のようなものであり、それは本当に楽しめる相手ならば払う価値があるが、まず十のうち九までは法外に高いものにつくのだ」≫

 「魔術師」は、1972年河出書房から新刊で出た当時読んで感銘し、それから彼の「フランス軍中尉の女」サンリオなどを読んだ。が、「魔術師」のその箇所は記憶にない。結末が鮮烈に記憶されている。気に入った本なので、後に河出文庫で出た上下二冊本は、誰かに贈ろうと二組持っている。未だに関心をもつ人が現れない。

 先だって来館された方は元銀行員で、銀行員時代に美術館の経理を担当していて運営の大変さを熟知しているので、K美術館はよくやっていますね〜、と不思議そうに感心していた。赤字をいかに減らすかに腐心しています、と応えた。その前に久しぶりに来館した知人は、ヴァンジー彫刻庭園美術館開設に携わり、それから箱根芦ノ湖畔にある玉村豊男ライフアートミュージアムの開館に尽力し、今はそこにいるので、近所にある芦ノ湖美術館について聞くと、とっくに閉館。空き家になっていて、周囲では困っているとのこと。鳴り物入りで賑やかに開館し、後はひっそりと閉館。この数年で閉館した美術館はいくつあるだろう。細々となんとか(なんとか!)維持しているK美術館はエライ、と自分で褒める。それまでして運営する価値があるのか?と問われれば、展示品の作品としての素晴らしさを、多くの人に見て知ってもらいたいから、また後世に遺すべき作品だと思うから、運営している、と答える。だから後世、つまらんガラクタばかりを展示したひどい美術館だった、と評価を下されるかもしれない。でも、これに賭ける。これほど面白い賭けはない。