きょうも穏やかな冬日

 きょうも穏やかな冬日ブックオフ長泉店で三冊。高橋克彦ゴッホ殺人事件(上・下)」講談社2002年初版、前登志夫「歌集 大空の干瀬」角川書店2009年初版帯付、計315円。「大空の干瀬(ひし)」は「歌人最期の歌集」。没後一周年に出た。一冊を読む。

  これ以上年はとるまじ紅葉の山にて舞へり炎となりて

  紺青に空割れてゐる冬の日に雪踏みてゆくその淡雪を

  まなざしをつねに休める稜線に行き倒れたるけものをるべし

  人がみなねむれる春のあけぼのをけだものの睫毛に霜下りたるや

  山に降る春三月の沫雪(あわゆき)に含羞ののちけだもの往けり

  金泥(こんでい)の芽吹きの森をゆさぶれる風のちからに人を戀ほしむ

 最後の短歌に吉本隆明の詩「固有時との対話」1950年を連想した。明日へ続く。