昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で二冊。保阪正康「< 敗戦 >と日本人」ちくま文庫2006年初版、宮地佐一郎「龍馬の手紙」講談社学術文庫2003年初版、計210円。
久しぶりの晴天。富士山は深い純白。午前11時前にはや来館者。今回注目すべき作品は、石のアクセサリーではなく、樹の幹を彫琢して作った椅子。これは彫刻ではなく彫琢作品だ。こんな椅子、初めて見た。私の求めてやまなかった樹の椅子にやっと巡り合えた。三十年前、新宿のデパートでジョージ・ナカシマの椅子ラウンジアームに惚れたけれど、その椅子は二十畳ほどの広い場所に置かなければ映えない。この白砂さんの彫琢した楠の椅子は、八畳間くらいでも充分にその魅力を体感できる。そう、座ってびっくり、なぜて納得。幹に深々と彫琢された窪みと膨らみが、生命的な心地よい柔らかな曲線を形作っていて、じつに美しいフォルムを魅せている。これぞ工芸と芸術の融合だ。樹が再び生きるとは、この椅子のことだろう。彼の制作した樹の椅子は、過去何点か観ているけど、これは将来、彼の木工芸術の輝ける処女作となるだろう。晴天な気分。
若い女性は「木の声が聞こえる」。参ったなあ。