5月 6日(木) 臨時休館/空気投げ

 本日は休館。午後、伊豆の国市の知半アートプロジェクト なる展覧会へ友だちと行く。伊豆箱根鉄道駿豆線大仁駅下車、徒歩七分ほどで会場。収穫だったのは、大野公士氏の野外の作品、山に続く裏庭に設置された板作りの高床式小屋というのだろうか、わずか二畳ほどの小さな板囲いの庵。青天井からは上に繁る木の木漏れ日が射し、四方の板壁に板二枚分開けられた細い窓からは周囲の自然が借景となって、一幅の掛け軸の趣を見せる。板と板は数ミリほど隙間があり、そこからも周囲のかすかなざわめきが抜けてくる。なんと簡素にして贅沢な空間だろう。利休の待庵への二十一世紀からの木霊のような。高床ゆえの浮遊する空間は、利休でさえ気づかなかった極楽気分を感応させる。周囲の自然の全体を取り込んだこの屋根の無い庵に、私は柔道の「空気投げ」に通じる技を感じた。帰り道、友だちと「これは三島の源兵衛川、桜川のあそこに設置したいよね。裸足で川を渡って、せせらぎの音、風の音そして木漏れ日を全身に浴びながらお茶をいただく……最高だね。それを岸から眺めると、また、いいねえ」と話は大いに盛り上がった。この三年間で最も感動した作品だと友だちは言った。

 目についた「中原中也詩集」サンリオ・ギフト・ブック1974年初版を読む。感傷的な、という先入観で敬遠していたけど、今読むと、オブラートの下の魂の深い亀裂を痛感する。歌人福島泰樹の絶叫短歌は、福島泰樹独自の中原中也観だと思い至る。ゴツゴツした魂のパカッと割れんばかりの深い亀裂だ。一通り読むと、絶叫とは真逆の静かな語り口での中原中也の朗読を聴いた読後感。

 ネットの拾いもの。

≪急用で親友の結婚式に出席できなかった女が言った。

 「次は絶対に行くから!」≫