初秋の気配だけど暑い

吉永良正ゲーデル不完全性定理講談社ブルーバックスを読了。後半はゲーデルの「完全性定理」と「不完全性定理」の解説。数学的証明の過程は、再読しても私の知能では理解できない。でも、なんとなくワカル気がする。

ゲーデルの完全性定理は、論理学の形式的体系について証明されたことがらです。私たちが使っている論理学の体系は完全である。すなわち、「論理的に正しい」命題ならどんなものでも、その体系内で「証明可能」である、ということです。≫196-197頁

≪論理の次には数学が問題になりますが、ここでは「数学的に正しい」ことが「論理的に正しい」こととはかならずしも一致しません。論理的な正しさとは、どんな対象についても当てはまる推論の正しさのことです。たとえば「AならばA」がそのよい例で、Aが真であろうが偽であろうが、この推論そのものは正しいといえます。≫197頁

≪数学的な正しさはこれと違い、ことがらの真偽が問われます。すなわち、数学における命題は数学的な内容をもつ以上、原理的には真偽があらかじめ定まっているはずです(ただし、いわゆる「自由変数」をもたない場合)。ですから、数学の形式的体系に対する完全性の要請とは「すべての真なる命題が、その体系内で証明できること」となります。なんだか自明のことに思えますが、それが自明であるどころか間違いであることを証明してしまったのが、ゲーデル不完全性定理だったのです。≫197頁

≪同じ条件の下で、「決定不可能な、すなわちそれ自身もその否定も証明できないような命題が、その体系内にかならず存在する」という、この論文の最初の主張を「ゲーデルの第一不完全性定理」と呼ぶのに対し、この「定理XI」すなわち「算術を含む形式的体系の無矛盾性は、その体系内では証明できない」という主張は今日、「ゲーデルの第二不完全性定理」と呼ばれています。≫235-236頁