飾り、遊び、アニミズム

 昨日は三島市にある佐野美術館の河鍋暁斎展へ行った。河鍋暁斎美術館所蔵品を主に展示。これは良かった。肉筆色彩画は何度か観ていて、やっぱりいいと確認。感嘆したのは、墨で描かれた掛け軸。竹の横からぬっと姿を現した虎の絵の、その竹のリアリティに驚嘆。そして柱絵のように細長〜い掛け軸に描かれた電柱に鳥が止まっている絵。すーっと伸びた電柱の現代的センス。上部に添えられた山岡鉄舟の見事な賛との美しい調和。脱帽ね。他に愉快な遊び心、ユーモアのある絵もかなり展示されていて、見飽きない。辻惟雄(つじ・のぶお)は日本美術の特色を「飾り、遊び、アニミズム」と定義したそうだけど、河鍋暁斎にピッタリ。 また観たくなる。

 笹沢左保『人喰い』双葉文庫1995年初版を一気読み。ぐいぐい読ませられてしまう。世評高いミステリだけはある。この文庫本は他に講談社文庫、中公文庫で持っている。双葉文庫が活字が最も大きい。本棚を眺めていて、はっと気づいた。柳広司『トーキョー・プリズン』角川文庫2009年初版をブックオフで見たとき、既視感に襲われた。その原因がわかった。遠藤武文『プリズン・トリック』講談社2009年初版を先に買っていた。プリズンつながりだった。

 昨日の源兵衛川だけど、引用した文は、農業用水路の源兵衛川の二十年間をそのまま文章にした印象。

 誰もが参加することができるような、なにか流動的な生そのもののような源兵衛川です。それが日々、日常のものであり、かつ創作者と鑑賞者が交換可能であるような川〜水辺空間=源兵衛川です。文字どおり、それは万人のものです。

 そこには飾り、遊び、アニミズムがあるように思える。