休館日

 昨夕帰りがけにブックオフ長泉店で四冊。恩田陸『ドミノ』角川書店2001年初版帯付、海堂尊ジーン・ワルツ』新潮社2008年初版帯付、橋本治『江戸にフランス革命を!』青土社1989年初版帯付、小西甚一『俳句の世界』講談社学術文庫2007年18刷、計420円。五十九歳最後の日にいい買いものができた。

 昨夜さっそく小西甚一『俳句の世界』をめくる。いい句に出合う。

≪ 秋夜遭ふ機関車につづく車輛なし  山口誓子 ≫319頁

≪ 海に出て木枯(こがらし)帰るところなし  山口誓子 ≫321頁

≪それを「叙述しない表現」として表現できたのは、以前から「有るものを無いとする」技法が誓子にあったからにほかならない。≫323頁

 深い洞察だ。「叙述しない表現」。これは効く。私の大好きな名句。

≪ 白牡丹といふといへども紅(こう)ほのか  高浜虚子 ≫282頁

≪美しい。ほのかな紅を把握することによって、白色の美しさはいよいよ美しい。豪華・清艶のおもむきが、ゆたかな調子の流れと相まって、みごとである。しかし、こんな美しさを美しいと感じる神経が用意されていない限り、感じきれない境地である。≫

 けだし名解説だ。

 晩、ブックオフ長泉店で二冊。『ちくま文学の森7 恐ろしい話」筑摩書房1988年初版帯付、荻野アンナブリューゲル、飛んだ』新潮文庫1994年初版、計210円。後者は、昨晩の日曜美術館ブリューゲル特集に彼女がゲスト出演していたので、手にしたら、解説が種村季弘だったので、買い。還暦前と還暦後、私にとっていい古本を買えた。最先がよい。