誓子・三鬼・キリム

 山口誓子(せいし)と西東三鬼(さいとう・さんき)。

≪ 秋風が吹きゐたり魚骨(ぎょこつ)こまやかに  山口誓子 昭和16年

≪ 秋の暮大魚の骨を海が引く  西東三鬼 昭和37年『変身』≫

 遠い木霊。

≪ 秋の暮真黒き獣道塞ぐ  山口誓子 昭和19年

≪ 春の暮晩鴉(あ)の黒きことも過ぐ  山口誓子 昭和20年≫

 戦争の深い影。

≪ 炎天の少女の墓石手に熱く  西東三鬼 昭和23年≫

 戦後だ。

≪ 少女二人五月の濡れし森へ入る  西東三鬼 『夜の桃』≫

 官能的。今の私の気分は山口誓子のこれかな。

≪ ひとり膝を抱けば秋風また秋風  山口誓子

 きょうからトルコ手作り展。トルコ人の主人とお客は熱心に語らっている。が、キリムといった織物はよくわからない。